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リナ・カウアスキーさん

2007年  

女性平和基金は、平和と社会正義をもとめる世界のたたかいに大切な役割を果たしています。日本で学んだことを、自分の国の仲間たちにひろげます。
リナ・カウアスキー(2007)

原水禁2007 リナ・カウアスキーさん、ビョン・ヨンオクさん

原水禁2007 リナ・カウアスキーさん、ビョン・ヨンオクさん

人権活動家(エクアドル)
核兵器なくそう女性のつどい2007


女性平和基金に感謝します。

私は、激動の大陸、ラテンアメリカから来ました。ラテンアメリカでは、社会運動、先住民、農民、女性組織、学生、青年など政治的、経済的、軍事的な支配の犠牲になっているさまざまな層の人々が、多数の国民に恩恵をもたらす民主的な事業を進めるために力関係をかえつつあります。

ラテンアメリカを再び植民地化する戦略とテロとのたたかいをすすめるアメリカ政府は、いわゆるスクール・オブ・アメリカが改名した西半球安全保障協力研究所へのあらたな資金援助を承認しました。 スクール・オブ・アメリカは何年にもわたって、南米大陸で70年代以降人道に対する犯罪や深刻な人権侵害を行なってきた、もっとも血なまぐさい独裁者たちを訓練したところです。

アルゼンチンとチリで独裁政権の犠牲になった女性、母親、姉妹、妻たちは、南米大陸で最も抑圧的な軍部を法廷の被告席につかせた不処罰を許さないたたかいにおいて、重要な役割を果たしました。現在も、海岸の町マンタなど米軍事基地が存在する町では、売春や夜の娯楽施設の増大、望まない妊娠、少女や若者の性の搾取、農民の立ち退き、伝統的漁法で漁をする漁民の活動の制限、外国製品の輸入による生活費の上昇、ファーストフードの増加や海岸の公共スペースの制限などの問題が起こっており、女性たちの役割が重要です。

みなさんとともに、それぞれの大陸、地域でのたたかいを交流するとともに、軍国主義に反対する世界的な意識を高めるためのキャンペーン、政治行動、裁判闘争、社会的動員などを通じて戦略を探求する機会を得たことを、光栄に思います。ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・長崎!二度と繰り返すな。核兵器も軍事基地もないもうひとつの世界は、可能です!

 

リナ・カウアスキーさん

人権運動家(エクアドル)
文・新婦人国際部長 平野恵美子


日本と世界のたたかいに学んだ原水爆禁止世界大会

原水爆禁止世界大会では、すべての海外代表に発言や分科会の運営を担うなどの機会が保障され、参加している国々のたたかいのさまざまな経験を学ぶことができるよう工夫されていることに、感動しました。被爆者や核実験被害者の証言、そして日本の人々の運動から多くのことを学びました。みなさんは、広島と長崎の悲劇の痛みを乗り越え、白分たちが経験した苦しみが他の国の人々に繰り返されないように世界に警告を発するために立ち上がった、気高い人々です。日本と世界の、地域のたたかいの中心になっている草の根のリーダーたちに、ぜひ世界大会に参加してほしいと思います。私の心に焼きついた日本のイメージは2つです。ひとつは、原爆資料館の展示や被爆者の証言など痛々しい思い出。もうひとつは、広島での「女性のつどい」などで希望のメッセージと歌、力強い女性とかわいい子どもたち、そして生き生きとした若者たちの姿です。帰国後、原水爆禁止世界大会の「国際会議宣言」をスペイン語に訳して、平和団体のホームページに掲載、つながりのある団体や入々に送るなどしました。原爆展も企画できればと、思っています。

新憲法制定、新しい国つくりをすすめるエクアドル

いま、エクアドルでは、昨年11月に発足した憲法制定議会に向けて、平和運動や人権団体が集まり、新憲法に盛り込んでほしい文言を起草・発表しています。現行憲法で保障されている人権を補強するものや新しい条項など、さまざまな提案がされています。軍事主義や外国軍の駐留の問題では、ラファエル・コレア大統領は、2009年に期限を迎える米軍のマンタ基地使用に関するアメリカとの協定を更新しないことを表明しています。エクアドルのアメリカ大使館は協定を更新するよう圧力をかけるために、メディアを使った攻撃を強めています。基地撤去をめざす「エクアドル反基地連合」は、憲法制定議会に次のような文言を提案しています。「エクアドルは平和な主権国家であり、外国の軍事基地も軍隊も置かないし、他の形態の外国軍の駐留を示唆するようないかなる協定も結ばない。単独であれ、他の国々と共同であれ、他の国々の紛争に軍事的な介入はしない。他の国々とともに軍事演習も訓練も行なわない。」これは、日本の憲法9条の精神に通じるものではないでしょうか。ほかに、天然資源を守る、先住民の多様性と自決権を認める、現在違法とされている抵抗・抗議権を認めるなど、あらゆる分野にわたって提案がされています。新憲法の制定はエクアドル国民にとって、白分たちの都合のいいように法律や憲法を利用してきた]部の人間の利益ではなく、国民大多数の利益にこたえる国としての新しいエクアドル国家の骨組みをつくるための、歴史的なチャンスなのです。

一本一円運動は企業の社会的責任のお手本

女性平和塞金のおかげで、さまざまな社会組織、とりわけ女性たちのたたかいについて理解を深めることができましたし、アジアやヨーロッパの平和運動についても、学ぶことができました。国際的に軍事化に反対する声が広がっていることを、実感しました。新婦人のみなさんとの交流を通じて、地域に根ざしながら、政治や経済などさまざまな問題にとりくむことができる、力ある女性組織だと思いました。新婦人の活動は、日本の社会がもとめている変化を起こし、女性・国民が社会の主人公になる道を開くものです。それは、日本だけでなく、平和と社会正義をもとめる世界の人々のためのたたかいだと思います。女性平和基金も、大切な役割を果たしています。多くの女性平和活動家が日本の現状を知るとともに、それぞれの国で白分たちがすすめているたたかいのビジョンや経験を交流する機会をつくり、連帯を広げているからです。レイラ化粧品の売り上げを平和運動に活かす1本1円運動は、企業の社会的責任をもとめるとりくみのお手本といえるでしょう。

子供たちに尊厳のある未来を… 同じ夢をめざす女性として

私は、憲法9条が守られることを心から願っています。9条は、平和を守ることへの熱烈な願いと、62年前に亡くなった人々、そして今日まで生延びた人々への敬意を示しているからです。私たちは子どもたちに尊厳ある未来を保障するために、力を合わせなければなりません。私を大家族の一員のように迎え、私たちがラテンアメリカですすめているたたかいを共有する機会を与えてくださり、ありがとうございました。ことばと地理がちがうだけで、私たちは、この美しい地球に住むすべての人間が平和に、社会正義と尊厳を持ってくらすという同じ夢をめざしているのです。

 

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